「無知の知」コラボ曼荼羅 with Luco ~story from kaz
● 無知の知
老師は言った。
「時間」を少し変わった形で説明してみようか
例えば、ピンポン玉でいっぱいの水槽があったとしよう
そのピンポン玉と同じくらいの直径の試験管でピンポン玉をすくうとする
試験管の入口をピンポン玉が通過する一瞬
その一瞬だけが
「現在」
入口を通過して試験管の奥へ入ったピンポン玉は全て
「過去」
として我らは認識する
どのピンポン玉をすくうのかで
「現在」は変わってくる
弟子は怪訝そうに質問した。
ですが、水槽の中には無数のピンポン玉がありますよ?それらはなくなってしまうのですか?
老師は満足気にうなずいた。
良いところに気が付いた
こう考えてみよ
実はどの「現実」も水槽の中に無数に「すでに」あるのだと。
ただし、我らの意識はとても限定的だから、試験管の中に入ったピンポン玉しか知覚出来ないのだ。
それ以外のピンポン玉は全て消えたと思っておるのだ。
それ故に「試験管の中に入っていない現実」は存在しないものとして、意識から淘汰されるのだ。
我らは「ホモ・サピエンス(賢い)」という種族らしいが、実に滑稽だとは思わんか?
弟子よ。
我らは小さく狭い試験管の中しかものを知ることが出来ない。
せめて「知らないということ」だけは知っておくがよい。
やがて、弟子は神託を受け、賢者達に会うために旅に出ることになる
その弟子の名は…