「アリとキリギリス」コラボ曼荼羅 with LUCO ~story from kaz~
働きアリさんは身体が小さく何をやってもみんなについていけず、楽しいことを見つけても周囲の目が気になってしまいます。
大きな荷物も運べないこんな僕が楽しんでいいのだろうか?そんなことが頭によぎって、いつも何かに遠慮していました。
「これでいいんだ。生きるなんてそんなものさ。」そう言い聞かせる日々。
それでも心の中のどこかでは、いつも何かを探していました。
どこからか青い蝶が現れて遠い世界へ連れて行ってくれる…そんな期待をしながらいつも空を眺めていました。
何もやってこない。何も変わらない。
これは大きな絶望ではありません。諦めを内包した失望感。毎日少しずつ心をすり減らし、緩やかに心を壊していきました。
そんなある日、ささいなミスから群れを追い出されてしまいました。
目的もなく彷徨い歩く日々。
そんな中、きみがあらわれた。
はぐれもののキリギリスです。
はじめは自由奔放なキリギリスが苦手でした。それでもたった1人でさまよう日々に、彼の明るさは何よりも頼もしかった。
「このままでは僕たちは冬を越すことは出来ないだろう。だから備えなくっちゃ。」
そうアリさんが言うとキリギリスはこう言いました。「はぐれものの僕と群れから見捨てられた君。僕たちが冬に備えたところでたかが知れている。まず生き残ることは出来ないだろう。」
キリギリスの視点にハッとさせられました。キリギリスは遥か南を指差してこう言いました。
「だからあの丘の向こうを目指すのさ!!」
「雪の積もらない場所を目指して旅をするんだ。」
「途中で命を落とすかもしれないし、雪の降らない場所なんて存在しないかもしれない。」
それでも僕は確かめたい。もう「備えるだけで消耗していくあの日々」はもうウンザリなんだ。
自由奔放に見えるキリギリスもアリさんと同じ日々を送ってきたのです。
「何度も絶望するかもしれない。それでも毎日あの丘の向こうを夢見て生きていたいんだ。」
アリさんはかつて期待していた青い蝶の背中には乗れませんでした。ですがアリさんにはかけがえのない仲間が出来ました。
二人の目は「あの丘の向こう」を目指して輝いていました。
–おしまい–